<「無敵のインド」幻想に囚われっぱなしのモディに、自国民に苦難を与えるパキスタン軍、地域全体を脅かす核戦争の危機は脱したが──>

全面戦争の瀬戸際だった。武力衝突を深刻化させていた核保有国同士のインドとパキスタンが、一転して停戦に合意したのは表向き、アメリカの仲介のおかげとされている。

両国の最近の対立は、核兵器の使用が検討されているとの見方が出るほどだった。アメリカが即座に介入したのが、緊迫度のいい証拠だ。

5月10日に停戦合意が即時発効して以来、インドもパキスタンも勝利を主張し、自国に都合のいい話をしている。実際の勝者の判断は難しいが、確かなことが1つある。真の「敗者」は両国の国民だ。

今回の衝突は、インドが実効支配するジャム・カシミールの町パハルガムで、4月22日に起きた銃撃テロ事件がきっかけだった。事件に直接関与したかはともかく、領有権を争うカシミールで、パキスタンが代理勢力である武装組織を支援してきたのは事実だ。

パキスタンはおそらく理解していないが、こうした支援は効果ゼロだ。むしろ、パキスタンの国際的評判を傷つけているばかりか、先住民(カシミール人)の自決権問題という紛争の本質を深刻にむしばんでいる。

「イスラム過激派のテロ」というレッテルは、主要国に警戒心を抱かせ、その支持を取り付ける上で利用しやすい。カシミールのパキスタン代理勢力の存在は、多くの意味でインド側の役に立つ。宗教的過激主義だとして、カシミールの自治権運動の正当性を奪うのに好都合だからだ。

その結果、今や国際社会はカシミール解放運動を、宗教的闘争と見なしている。

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「モディの幻想」が核戦争の危機を招いた
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