多くのハードル

欧州でも右派のポピュリスト政党が各地で支持を得ており、イタリアの保守政権は伝統的価値観の擁護者を唱えている以上、米国からの移住希望者にとって明るい未来一色というわけでもない。

イタリアのメローニ首相は22年に政権の座に就くと「LGBTロビー」と対決するとともに「自然な家族」の枠組みを守り抜くと約束している。

 

ドイツでは極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が2月の総選挙で第2党に躍進した。

ブラグジット・グローバルのライト氏も、欧州の一部の国の政治状況は「やっかいだ」と認める。ただそれでも、多くの米国人が欧州移住に関心を寄せ続けているという。

一方海外在住の米国人が利用するオンラインコミュニティー、エクスパット・ドット・コム創業者兼最高経営責任者(CEO)のジュリアン・ファリュー氏は、大統領選の際には常に移住が話題になるが、その通り実行する人がどれだけいるのか正確に把握するのは難しいとくぎを刺した。

また米国から海外に移住するには多くのハードルがある。

移住プラットフォーム、リロケート・ドット・ミーによると、具体的には海外での仕事確保の難しさや、リモートワーク規制、欧州の方が給与は低いという問題、世界のどこに住んでいようと米政府から所得税を徴収されることなどだ。

既にオーバーツーリズムや深刻な住宅不足に悩む欧州側としても、より多くの外国人が移住してくるのは喜ばしい展開ではない。複数の国では、国内で反発が強まった富裕外国人向けのビザ発給制度を廃止する動きも出てきている。



[ロイター]
トムソンロイター・ジャパン
Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます
ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます