iPhoneから風力発電用タービン、F35戦闘機に至るまで、アメリカの経済と国家安全保障にとって重要な技術の多くにはレアアース(ネオジムやテルビウムなど17種類の金属元素)が不可欠だ。

ところが世界の希土類元素の生産、とりわけ精製と磁石への加工については中国がほぼ独占している。

中国は、この優位性を武器にしてきた。例えば10年に尖閣諸島の帰属をめぐる緊張が高まったときにはレアアースの対日輸出を止めた。以後、日本はレアアースの調達先の多様化と備蓄強化に取り組むことになった。

中国いじめには限界

アメリカにはレアアース以外の弱みもある。中国は近年、アメリカと貿易や技術をめぐって対立し、半導体の製造に必要なガリウムやゲルマニウム、さらにアンチモンなどの輸出規制を発動。希土類の分離・精製、磁石製造に関連する技術の輸出も禁じている。

こうした展開を踏まえ、アメリカ側も対中依存を減らす道を模索してきた。もちろん第2次トランプ政権も重要課題の1つと位置付け、国内生産の拡大を探る一方、グリーンランドやウクライナに眠る資源を手に入れようと画策しているようにも見える。

だが政治の意思でどうにかなる問題ではない。いくらトランプ政権が中国への依存を減らしたくても、こうした希土類の新たなサプライチェーンの確立には何年もかかる。業界のプロに言わせれば、中国には規模の経済があるし、分離・精製・加工に関する技術の蓄積もある。

トランプの中国いじめは、結果的に中国を利する?
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