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マンハッタンの一等地にオープンしたニューヨーク店 THE NEW YORK TIMESーREDUX/AFLO

中国との違いを主張することは、近年の台湾にとって極めて大切になっている。台湾との「再統一」を目指す中国による侵攻の脅威が高まるなかで、その重要性はさらに増してきた。台湾は昨年、ただでさえ少ない公式な外交関係国をさらに失ったが、アメリカを筆頭とする非公式な関係は強化されている。

このような状況のなか、鼎泰豐のソフトな小籠包は、台湾積体電路製造(TSMC)が製造する最先端の半導体チップと同様、台湾のソフトパワーの最も効果的な象徴となっている。「鼎泰豐は台湾料理を代表する初の国際ブランドなので人々はとても誇りに思っている」と、カオは言う。

食用油店から始まった鼎泰豐は、その後数十年で世界的な人気を獲得した。来店経験のある人は誰もが、思い出話や注文のコツ、そして時にはちょっとした自慢話をストックしている。

どの店でもハズレなし

昨年夏、私はフォーリン・ポリシー誌編集長のラビ・アグラウルと、ニューヨーク進出を果たした鼎泰豐でディナーを共にした。彼はこれまでシンガポール、香港、北京、上海、ロサンゼルスと5都市の鼎泰豐を制覇。そこにニューヨークが加わったと誇らしげに語った。

私が鼎泰豐の洗礼を受けたのは10年ほど前のこと。香港に配属された新米記者だった頃で、おなかと心を満たしてくれる料理を必死になって求めていた。見つけたのは、香港島の夜景が湾の向こうに広がる九龍の埠頭に近い店舗。この店は、ミシュランガイドの1つ星を獲得した唯一の鼎泰豐の店でもある。

ルーツが分かりにくいのが台湾料理の特徴
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