これから2回に分けてお届けする物語に対しても、皆さんから感想やコメントが届くことを期待している。

※後編はこちら:7回の自殺未遂を経験しながら、若者の自殺を止めたホームレスの死生観

荒川河川敷のホームレス
荒川河川敷で暮らす征一郎さん

常に「死」と隣り合わせ

征一郎さんの物語は、心が温まるものばかりではない。彼が過去の経験を話すときには、「死」という言葉が離れないような気がした。

おそらく誰もが語ることをタブーだと考えるこの言葉に、彼がなぜ「興味津々」なのか。征一郎さんは、こう話した。

「自殺未遂は7回あった。一時期、毎日死にたいと思っていた」

度肝を抜かれたが、そう話したときの彼は、顔つきが穏やかで余裕が見えた。

彼はどうして自殺しようとしたのか、そのためにどんな手段を取ったのか。いま生きている理由はどこにあるのか。今後、彼が自殺する可能性はあるのか。自殺しようとしている人をどうやって止めるのか。

なぜ何度も自殺未遂を重ねたのか

征一郎さんへの「死」に関する一連の質問は、もしかすると冷酷で、倫理に触れる危険性さえある。

でも、聞かなければならない。世の中の多くの人が、これらの問題の中で迷い、もがき苦しんでいる。

特殊で非凡な人生経験が形作った征一郎さんの死生観が、正しいのか、間違っているのかは分からない。人それぞれの考えがあるだろうが、私にとって最も大事なことは、彼の真実を記録することだ。

現代では、映画やテレビ、新聞雑誌、ゲームの中でも、殺し合いや死に関わる場面が随所に見られるが、命の価値や自殺者の心の世界などを深く考えさせるものは少ない。

たまたま私は日本で、征一郎さんという、何度も自殺未遂を経験したホームレスに出会うことができた。彼の波瀾万丈な人生を聞いて、大いに視野が広がった。

まさに「听君一席活 勝読十年書」(中国の言葉で「君のひと言は、十年の書を読むに勝る」という意味)だ。

2度手首を切って死のうとした少年時代
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