施設で浮き彫りになっている課題は次のようなものでした。

◎ 虐待や育児放棄による入所者の増加

◎ 児童養護施設に対する社会の誤解(「問題児の収容施設」といった偏見がある)

◎ 社会的養護の実態についての認知度の低さ

施設長の言葉が、私の中の何かを変えました。

「児童養護施設は悪いことをした子どもたちが集められている場所」といった誤解が世間には根強くあるのか......。身寄りがないせいで悪さをするのではないかと警戒されていた、かつての自分を思い出しました。この現実を何とかしなければ......。

「しかしですよ、そうは言っても河村さん。何か考えはありますか? 社会に現状を知ってもらうのは簡単ではありませんよ」

施設長の問いかけに、私はある計画をあたため始めました。

そうだ、クリスマスにランドセルを届けよう

2010年12月18日、クリスマスの1週間前でした。東京から群馬に戻った私は、まっすぐ県内の百貨店に向かいました。目的地はランドセル売り場です。店員さんに告げました。

「10個ください」

この一言が、後の大きなうねりの始まりとなりました。店員さんだけでなく、周りのお客さんたちも一斉に振り向きました。皆、驚いた表情をしていました。それもそうでしょう。普通、ランドセルは一人の子どものために、一生にいちど買う特別な品です。まとめて10個も購入する人などいません。

私は購入したランドセルを自宅で保管し、クリスマスに合わせて前橋市にある児童相談所に届けるつもりでした。この計画には、明確な意図がありました。東京の児童養護施設で子どもたちの数が増え続ける現状を目の当たりにし、何かアクションを起こさなければならないと考えてのことでした。単純な物資の支援を超えた、より大きな目的があったのです。

タイガーマスク作戦始動
【関連記事】