息子を初めて抱っこしたとき、私が親から言われてきた「子どもは分身だ」という言葉は間違っていたんだとはっきり分かりました。彼の命は彼のものだと感じました。血を分けた子どもだとかいうことではなくて、自分とは違うひとりの個体だと思って一緒に暮らしていこうと思いました。(29ページより)

自分がお母さんになれるのだろうかという不安があり、「母親ってこういうもの」というようなイメージを耳にすると、自分には合わないような気もしたそうだ。ましてや自分の思いどおりにならないのが子育てなのだから、さまざまな困難を乗り越えなければならなかった。

のちに長男は自閉症スペクトラム症であることがわかり、31歳のときに生まれた娘には重いアレルギーがあった。34歳で次男を出産するが、自分に母親としての資質があるとは思えなかった。

やがて死を意識するようになり、「お母さんと一緒に死のう」と告げる。すると、6歳だった長男から思いもよらない答えが返ってきた。


「死にたいなら、お母さんひとりで死んで。僕は生きて、将来役に立つ人になる」(40ページより)

そのとき思い出したのは、「この子は私のものじゃない。息子と私は別の人間だ」と感じたときのことだった。そしてそこから、子どもとの関係性に変化が生まれていった。

「後悔のない人生を生きる人なんかいない」
【関連記事】