マイクロプラスチックはなぜ危険なのか?

プラスチック製品は分解する際に微細なプラスチック粒子を放出する。特に、熱や摩擦によって劣化した場合にその影響は顕著になる。

北アイルランド・クイーンズ大学ベルファスト校(Queen's University Belfast)で食品安全が専門のクリス・エリオット教授は、本誌に対して次のように述べる。

 

「さまざまな食品や飲料から、ヒトがマイクロ・ナノプラスチック(MNPs)にさらされているエビデンスは増え続けており、今後も調査が進むにつれてさらなる発見が予測されます。ティーバッグが格段リスクの高いものであるとはまだ断定できませんが、マイクロ・ナノプラスチック(MNPs)への曝露と、それに伴う健康リスクに関するニュースを今後も数多く目にするでしょう」


プラスチックは「内分泌かく乱物質(endocrine disrupters)」を放出し、特定のがんのリスクを高めると考えられている。

バルセロナ自治大学の研究では、微細なプラスチック粒子がヒトの腸管細胞に大量に吸収され、腸内で粘液を生成する特定の消化細胞に吸収されていることが明らかになった。さらに、細胞核(遺伝情報を保存している場所)にまで到達していることも判明している。ダウデル教授は次のように本誌に語る。

「ナノプラスチックがミトコンドリア(細胞の「エネルギー工場」)や細胞核内のDNAを破壊する可能性があります。発がん性は、遺伝毒性(Genotoxicity)やDNAの損傷に深く関係しています。これらの微細なプラスチック粒子は、腸の「生物学的障壁(cross biological barriers)」を通過し、血液を介してさまざまな臓器に影響を与える可能性があります」

【参考文献】

Banaei, G., Abass, D., Tavakolpournegari, A., Martín-Pérez, J., Gutiérrez, J., Peng, G., Reemtsma, T., Marc, R., Hernández, A., García-Rodríguez, A. (2024). Teabag-derived micro/nanoplastics (true-to-life MNPLs) as a surrogate for real-life exposure escenaris, Chemosphere, 368 (143736).

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