気候変動対策活動家の間には、日本製鉄による買収が中止になれば、別の企業がUSスチールを買収して、よりクリーンなテクノロジーへの転換が進むのではないかと期待する声もある。

「日本製鉄による買収提案は、気候にとって好ましくないものだった」と、鉄鋼業の脱炭素化を目指す団体スティールウォッチのアジア責任者を務めるロジャー・スミスは本誌の取材に電子メールで回答している。

再生可能エネルギーの利用拡大に伴い、発電における温室効果ガスの排出は減り始めている。そこで、次に注目が集まっているのが鉄鋼業などの重工業だ。

米商務省は昨年3月、鉄鋼大手クリーブランド・クリフスのオハイオ州ミドルタウンとペンシルベニア州バトラーの工場の脱炭素化に、最大5億7500万ドルの助成金拠出を決めている。

実は、クリーブランド・クリフスは2023年8月にUSスチールへの買収提案を行ったことがあった。

このときはUSスチールが提案を拒否したが、今回、日本製鉄による買収計画が中止になれば、同社が再び買い手として名乗りを上げないとも限らない(本稿執筆時点で本誌の取材要請に対して同社広報担当者からの返答はない)。

日本製鉄も今世紀半ばまでに、製鉄のプロセスでカーボン・ニュートラルを目指す計画を打ち出している。しかし、スティールウォッチをはじめとする環境保護団体は、それでは遅すぎるし、規模も不十分だと批判してきた。

「未来を受け入れるつもりがあれば...」
【関連記事】