アスリートの脳震盪をめぐる認識や受け止め方が変化したのは、パトリック・リシャCTE啓発財団の努力の成果でもある。

「情報提供が、より安全なスポーツへの第一歩になると考えている」と、リシャの義父ダグ・ジーゲルは語る。「プレーに伴う外傷の深刻度に応じて、競技をランク付けすることを検討してもいいかもしれない。映画のレーティングシステムは存在するのに、スポーツにはそれがない」

「理想を言えば、衝撃が繰り返されるスポーツは禁止すべきだ。ぶつけ合うのが肩でも頭でも、脳がダメージを受けるのだから。だが少なくとも保護者や関係者が危険を理解していれば、十分な情報に基づく選択ができる。適切な情報を提供することで、賢明な決断を促せるはずだ」

ユースリーグでもプロレベルでも、選手の脳の状態を確かめることができれば、流れは大きく変わる。バイオマーカー検査が進化すれば、選手のプレー復帰の是非について、よりよい判断が可能になる。

「頭部の接触が大きな話題になっているのは喜ぶべきことだ。衝突の可能性を最小限にしたい」と、シルズは言う。

「私は神経外科医として、脳損傷や脊椎外傷の患者の治療に力を注いできた。スポーツがより安全になるなら、何であれ大きな前進だ。大学スポーツの選手だった子の親で、スポーツをする9人の孫がいる私にとって、スポーツの安全性は仕事であるだけでなく家族の問題であり、コミュニティーの問題でもある」

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