別名「灼熱の陽光(scorching sunlight)」と呼ばれるTOS-1ソルンツェペックは、今回の戦争が始まって以来、ロシアが使用している希少かつ高額なサーモバリック火炎放射器で、多連装ロケット砲として機能し、サーモバリックロケット数十発を発射できる。

米陸軍士官学校(通称ウェストポイント)のリーバー研究所(Lieber Institute)によると、サーモバリック兵器は「爆発に伴う衝撃波と過圧を最大化することで損害を与える」。そうした兵器の使用で生じる圧力によって、建物が崩壊したり臓器が破裂したりすることもある という。

ウクライナ国防大学(National Defense University of Ukraine)によれば、焼夷弾を発射するサーモバリック火炎放射器の開発は1970年代の旧ソ連にさかのぼる 。米軍も1960年代にサーモバリック兵器を使用していた。

TOS-1の射程は5.6マイルで、90秒以内に発射準備が整う。通常の爆薬よりも長続きする「発火力と爆風効果」を生じさせる目的で使用される。

ロシアはTOS-1ソルンツェペックを「装甲車両や人員に対する攻撃、要塞の破壊」に使い、220ミリのサーモバリック弾を発射している。

ウクライナ軍はこれまでにロシアのサーモバリック火炎放射器数基を破壊しており、8月にはウクライナ南部のザボリージャ州で「TOS-1A」システムを破壊した 。この時はウクライナ保安庁(SBU)がFPVドローンを使ってTOS-1Aを攻撃した

ウクライナ保安庁は以前、TOS-1ソルンツェペックをロシア軍の「誇り」と呼び、「前線の稀有な標的」と位置付けていた。

(翻訳:鈴木聖子)

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