[フランクフルト 25日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は25日の理事会で、利下げと資産買い入れ策再開の可能性を示唆した。製造業の不振が目立つ中、域内の景気下支えを目指す。
ドラギ総裁の理事会後の記者会見での発言は以下の通り。
<第2、第3・四半期の成長は鈍化へ>
入手されている経済指標や調査は、第2、および第3・四半期の成長が幾分鈍化することを引き続き示唆している。
<抑制されたインフレ圧力>
インフレ圧力は依然抑制され、インフレ期待を示す指標は低下している。
<大規模な刺激策>
好ましい金融環境を確実にすると同時に、ユーロ圏の景気拡大や域内の物価上昇圧力の醸成、中期的な総合インフレ動向を支えるため、引き続き大規模な金融刺激が必要だ。
<くすぶる不透明性>
地政学要因や保護主義の高まり、新興国市場の脆弱性に関連する不透明性がくすぶっており、製造業部門を中心に経済を巡るセンチメントを圧迫している。
<世界景気の減速>
雇用の増加継続や賃金上昇は経済の弾力性を引き続き下支えているものの、世界景気の減速や低調な世界貿易は依然ユーロ圏の見通しへの重しとなっている。
<金利階層化と景気後退リスク>
一部理事会メンバーは(金利の)階層化システムについて疑念を持っている。(ただ)いかなる政策ツールも排除されることはなかった。
まず、階層化はどのような形になるのかという疑問がある。
われわれは幅広い責務を望んでいるが、そこまで幅広いものは望んでいない。ただ、状況の複雑さを踏まえ、ある程度の裁量余地を残しておきたかった。
われわれは今も、リセッション(景気後退)のリスクはかなり低いとみている。
<景気後退リスクは低い>
われわれは今もリセッション(景気後退)リスクは押しなべてかなり低いとみている。労働市場では復元力の兆しが出ており、勢いが失われつつあることは認めるが、改善は続いている。
<インフレ目標に変更なし>
変更はない。1ページ目ではなく4ページ目に記載されている。見ての通りだ。
<現状は望ましくない>
インフレ面で現在みられていることは望ましくない。
シンメトリー(対称)ということは、インフレが(目標の)上にあろうが、下にあろうが、理事会は同様の決意を持って対処することを意味している。
こうしたことが今回の理事会で行動を起こす論拠になったかとの質問だったが、そうではない。ただ、先ほど言った通り、現在みられていることは望ましくない。これは極めて重大なことだ。
<今回の理事会で行動を起こすことについて討議せず>
(今回の理事会で行動を起こすことの是非については)討議されなかった。現在は力強さの兆候がみられているため、現時点で悲観的になるのは難しい。
同時に、特定のセクター、および特定の国で経済見通しは急速に悪化している。われわれは最新の経済見通しを6月に公表したが、行動を起こす前に次回の経済見通しを見極めたいと判断した。
<断固として行動を起こす>
中期インフレ見通しがわれわれの目標を下回る状況が続けば、理事会は断固として行動を起こす。
<インフレの収束はまだ先>
インフレが(目標に向け)収束するのはまだ先になるとの見通しが出ている。
<景気上向く公算は小さい>
われわれの最新の経済見通しでは、ある意味で下半期に景気が上向く可能性が示唆されていたが、現在入手されつつあるデータから、第2・四半期の成長は軟調で、第3四半期も軟調となる可能性があることが示されている。このため、景気が上向く公算は小さくなっている。
<リスクの顕在化>
リスクバランスは下向きであるとの判断が示された。不確実性が根強く、長期化していること自体、こうしたリスクの顕在化であると言える。
<貿易の弱体化が製造業を打撃>
世界的な不確実性が長期化する環境下で、主に国際貿易の弱体化を反映し、成長見通しが減速している。こうしたことで特にユーロ圏の製造業セクターが悪影響を受けている。
<サービス業と建設業は底堅い>
サービス業と建設業の活動水準は底堅く推移しており、労働市場の改善は続いている。
<インフレへの波及は緩慢>
生産能力の利用度が高く、労働市場も逼迫する中、労働コスト圧力は増大し、かつ広がりを見せたが、その一方でコスト圧力のインフレへの波及は当初の予想よりも時間がかかっている。
<中期的インフレ>
中期的には、金融政策対応や景気拡大、賃金の伸びを背景に基調インフレは上昇すると予想される。
<成長リスクは下向き>
ユーロ圏の成長を巡るリスクは、地政学的要因に絡む根強い不確実性や保護主義の台頭、新興国市場の脆弱さを背景に依然下向きに傾いている。
<リブラ>
(フェイスブックが計画する暗号資産)「リブラ」について、今回の理事会では討議されなかった。
ただこの件については主要7カ国(G7)で踏み込んだ討議が行われた。懸念されると同時に関心を集めている事案であるとの見解でほぼ一致した。懸念はサイバーセキュリティー、マネーロンダリング(資金洗浄)、テロリズムに対する資金提供、犯罪目的のための仮想通貨の利用などを巡るものだった。
<マイナス金利>
フォワードガイダンスがカバーする期間は銀行の利益は大幅なマイナスにならないか、そもそもマイナス圏に落ち込まないことが分析で示されている。
一段のマイナス金利が銀行利益を圧迫するか見極める必要がある。リバーサルレート(金融緩和策による緩和効果が反転する金利水準)にはまだ達していない。長期にわたりマイナス金利を維持するとこうした危険性が発生する。こうしたことを考慮する必要があると基本的に認識している。
<緩和策の実施順序はあるか>
意図的な順序はない。すべての政策ツールが検討の対象となると言ったときも、われわれが何をより望んでいるか、何が優先されるべきかなどと明言しないよう気をつけていた。まだそのような時点に達していないということだ。
<次期ECB総裁に就任するラガルド氏について>
ラガルド氏は素晴らしいECB総裁になるだろう。長きにわたりラガルド氏の知己を得ているからこそ、そう言える。
<財政政策>
金融政策はユーロ圏経済の支援に多くの役割を果たしてきた。現在でも見ての通り、多くの役割を果たし続けている。ただ見通しの悪化が継続した場合、財政政策が重要になってくる。
<全会一致だったか>
現在の見通しに関してまず討議したが、これについて広範なコンセンサスがあった。
経済見通しは一段と悪化している。製造業は悪化し続けており、製造業の重要度が高い国でも悪化が続いている。