<アサド政権崩壊後の政治的空白、宗派間対立、そして米軍撤退による安全保障の空洞化。暫定政権の不安定さと国際社会の関与の減退が、シリアで過激派の復活を促している>

昨年末にアサド政権が崩壊し、暫定政権が樹立されたものの、国内は宗派間の対立や外部勢力の干渉で揺れている。そのような中、イスラム国(ISIS)が組織の再生を図ろうとしている。

かつて中東を震撼させたこの過激派組織は支配領域を失い、組織的にも弱体化しているが、シリアの脆弱性を巧みに利用しようとしている。

ISISの衰退から再生へ

ISISは2014年にシリアとイラクの広大な地域を支配下に置き、一方的に「カリフ国家」を宣言し、世界に衝撃を与えた。最盛期には10万人を超える戦闘員を抱え、残虐なテロ行為で知られた。

しかし、米国主導の有志連合や地元勢力の反撃により、2019年までに支配領域を全て失った。戦闘員数は現在、推定2,500人程度にまで減少している。それでも、組織は地下に潜伏し、ゲリラ戦術を駆使して活動を継続している。

アサド政権の崩壊後、シリアにおける力の空白がISISに好機を与えた。新政権は反政府勢力の連合体であるハヤト・タハリール・シャーム(HTS)を中心に据え、安定化を図っているが、内部の派閥争いや少数民族の不満が絶えない。ISISはこうした分断を狙い、攻撃を激化させている。

例えば、2025年6月にはダマスカス近郊のキリスト教施設を標的とした自爆テロが発生し、数十人の死傷者を出した。また、シリア北東部では小型武器を使った待ち伏せや即席爆発装置(IED)による襲撃が相次ぎ、軍の検問所や政府車両が標的となっている。

国連の報告によると、2024年のISIS関連攻撃は前年の倍以上に増加しており、300件近くに上る。

シリア国内の脆弱性とISISの戦略
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