玄関からリビングまで室内廊下を設けて、その両側に2つの部屋。リビングの横に、もう一つの部屋。この区分けを上から見ると、「田」の字になるので、「田の字プラン」という呼び名が生まれた。

初期のマンションは4つの部屋で田の字を構成したが、その後のマンションは、住戸全体で田の字を構成したわけだ。

「田の字プラン」は、昭和50年代からマンション3LDKの主流になった。

マンション探しをすると、どこでも似た間取りだなあ、と感じる人が多いだろう。実際、よく似ているのは、「田の字プラン」でつくられているケースが多いからだ。

この「田の字プラン」から脱却し、個性的な間取りはできないか......その声は、以前から購入者からだけでなく、不動産会社からも出ていた。が、定評のある田の字プランを捨て、個性的プランを採用する冒険はできないでいた。

その状況が今回のコロナ禍で変化した。

テレワークやステイホームで、家族が家で過ごす時間が増加。増えた家時間を快適に、楽しくするために、いままでにない間取りが求められたからだ。

コロナ禍で求められるのは「ゆとりある居住スペース」

コロナ禍による家時間の増加で、真っ先に求められたのは「住戸の広さ」。家族全員が長く家に居るようになり、家の中で仕事や勉強をする。さらに、リモート会議のための小部屋が求められたりする。これまでより広いスペースが必要になったわけだ。

しかし、住戸の面積を広くするのは簡単ではないし、広くすれば分譲価格や家賃が高くなる、という問題も生じる。

面積を広くせず、ステイホームしても息苦しくないマンション住戸を実現するために目がつけられたのが室内廊下だ。

室内廊下を通路ではなく、居住スペースに取り込むことができれば、同じ面積でもゆったり暮らすことができる。

室内廊下を手放すことで、ゆとりが手に入るわけだ。

ただし、単純に室内廊下や室内ドアをなくすだけでは、古いタイプの住まいに戻ってしまう。廊下をなくすが、別の方法でプライバシーを確保する。たとえば、区切るところはしっかり区切り、居室の間に収納スペースを効果的に配置する、といった工夫だ。

その最新事例が、写真で紹介した4つの間取りである。

室内廊下をなくすことで、個性的な間取りが増えれば、それはコロナ禍によってもたらされた予想外の恩恵と考えることができそうだ。

※当記事はYahoo!ニュース個人からの転載です。

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