イギリスでは、BBCの人気番組『トップ・オブ・ザ・ポップス』の名物司会者ジミー・サビルによる「イギリス史上空前の性犯罪」とされる性加害が、11年に本人が死去した翌年に発覚。
国民的関心事になり、サビルの墓石撤去など、生前の功績を遡及的に「キャンセル」する動きが生じた。それとともに、警察が大規模に捜査し(イギリスでは性犯罪に時効はない)、疑惑を隠蔽していたBBCに対して独立調査委員会による調査が行われた。
ジャニーズの「焦燥感」
これに対して日本では、長年にわたり「公然の秘密」として隠蔽されてきたジャニー喜多川氏による児童や少年への性加害に対して、沈黙という不作為を続けてきたジャニーズ事務所やメディアを含む関係者による自己検証の動きはまだ鈍い。
「NGリスト」を先んじて報じたNHKも、局舎内で性加害が行われていたという被害者の証言を新たに報じており、性虐待疑惑を隠蔽し批判を浴びたBBCの二の舞いになる恐れを抱えている。
「ビジネスと人権」という国際潮流を背景にした企業による広告契約見直しの動きと圧倒的な世間の批判を前に、ジャニーズ事務所は焦燥感を募らせているようにも見える。
広報担当元副社長が主導したとされるメディアコントロールは、今回の会見における拍手やヤジの一部に影響力の残滓が見受けられはしたが、もはや通用しない。
頼りの危機管理担当法律事務所は、企業の存亡を賭けた記者会見運営をFTIに任せ、FTIは運営末端の管理が行き届かなかったが故にクライアントのインテグリティ(誠実性)に疑問符を付ける失態を演じた。
今回のNGリスト問題は、起きるべくして起きた事態だったとも言えるだろう。