河瀨直美は映画のイベントで、オリンピックを開催したことはよかったと何度も発言している。しかし映画そのものは、オリンピックの開催についてはっきりと肯定するものにはなっていないのだ。スポンサーである五輪関係者に対するリップサービスが必要なのかもしれないが、そのことが映画の宣伝として正しかったのかは疑問だ。

もしかすると本人の性格が、作品のもつ政治的な繊細さを打ち消すぐらい傲慢なのかもしれない。冒頭で述べたように河瀨直美についてはパワハラ疑惑も報じられている。しかしそのせいで、この映画の最もよい視聴者となりえた人々を、すっかり敵に回してしまっているのだ。

もっとも、選手以外にスポットを当てた『SIDE:B』は、これから公開される。その中では、『SIDE:A』で見られた女性やマイノリティに対する寄り添いとは真逆の、政治的偏見が開陳されているのかもしれない。いずれにせよ、答え合わせはこれから、ということになるだろう。

『SIDE:B』予告