中間層が没落し、富裕層と低所得層の格差が拡大している日本では、これまでの資本主義を見直すべきだという議論が進んでいる。岸田内閣への当初の期待も、自己責任一辺倒の資本主義への見直しを首相が行ってくれるだろうと思われていたからだ。しかし「投資倍増プラン」によって、岸田首相は自己責任論に基づく弱者切り捨てを行おうとしている。
かつて衰退に直面した西ローマ帝国は、支配下の諸都市に対して「もはや帝国は諸君らを守ること能わず。諸君らはそれぞれ自衛に努めるべし」という声明を出した。その後数十年にして帝国は滅亡した。日本政府は市民に積極的に投資を奨励し、中等教育でも投資の授業が始まっている。これは、もはや日本政府は市民の生活を保障することはできないので、市民はそれぞれ自衛しなさい、というメッセージではないだろうか。
格差を顧みず、それぞれの老後はそれぞれが資産形成することによって賄うべしとするのは、あまりにも無責任だ。岸田首相は初心に帰り(もし初心が嘘ではなかったとするなら)、資産を増やした富裕層から資産を減らした中間層・貧困層への実効性のある再分配政策を行うべきだろう。