子供の頃、徒歩や自転車、公共交通でいかに楽しく安全な通学ができるか。さらには、それを大人になっても継続させられるかは、地方の移動問題を解決する上で重要だ。

クルマ移動に依存してきた地方で、高齢化に伴い、クルマを手放しても暮らせるまちづくりが注目されている。路線バス、コミュニティバス、デマンド交通など送迎サービスを高齢者福祉事業として負担し、運行している自治体も多い。また、セニアカーなど免許のいらない移動手段が使いやすい地域づくりも期待されている。

しかし、ほとんどの地域が「住民に利用してもらえない」問題に直面している。

その理由は、やはりクルマが便利だということ。クルマに慣れ、家族に送り迎えしてもらう生活が当たり前になると、公共交通に乗ったり、カラダを使った移動をすることができなくなる。クルマに頼り切った生活をし、運転をやめると病気になってしまう「クルマ生活習慣病」の重い病から、地方を救うのは非常に難しい。

クルマ生活習慣病にかかってからでは手遅れ。事前に予防するのが移動問題でも大事なのだ。クルマを運転しつつも、歩いたり、自転車に乗ったり、ときには公共交通に乗って通勤するなど、クルマ以外の移動を生活の中に取り入れる工夫が必要だ。

このように、通学は子供の頃の一時的な問題ではなく、一生涯の問題でもあるのだ。

通学路の改善で地域の移動課題を解決

免許返納した高齢者にスタイリッシュな車いすなどのパーソナルモビリティを使ってもらおうという機運が高まっている。ところが、自宅からスーパーまでの道路が危ないために使えない場合がある。そうはいっても自治体の財政は厳しく、そう簡単に道路を整備してもらえるわけではない。一方、通学路の整備となると、自治体の中での予算取りも優先順位が高くなるのだそう。

子供たちが肩身の狭い思いをせずに安全に通学できる地域は、高齢者にとってもやさしい地域と言える。

学校の統廃合と通学を考えることは、高齢化に直面する地域の移動課題を解決する好機となるかもしれない。

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