<積極的に社会参加する欧州の障がい者とそれを可能にする「自操式福祉車両」にヒントを得たと、国内で福祉車両の改造サポートを展開するヤナセオートシステムズ代表取締役社長の江花辰実氏は言う>

病気や交通事故でクルマの運転を諦めてしまったという人は少なくない。一方で、『五体不満足』(講談社)の著者として知られる乙武洋匡氏のように運転免許を取得し、クルマを改造して運転している人もいる。身体障がいを持つ人でも、都道府県の警察に相談して安全な運転が可能だと判断されれば、「自操式福祉車両」に改造することで自分で運転することができるのだ。

メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン、シボレー、キャデラック、ポルシェ、アウディ、スマートを取り扱い、全国300拠点を越えるネットワークを持つヤナセ。介護用ではなく、障がいのあるドライバーが自分で運転できるように「自操式福祉車両」の改造サポートを積極的に進めている。福祉車両の改造を担当するヤナセ執行役員・株式会社ヤナセオートシステムズ代表取締役社長の江花辰実氏に日本と欧州における福祉車両の違いと、国内で積極的に改造サポートを展開するその背景を聞いた。

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──介護用だけでなく、障がいのあるドライバーが自ら運転する「自操式福祉車両」への改造に力を入れるきっかけは何だったのか。

ドイツの福祉車両・機器の展示会(REHACARE;International Trade Fair for Rehabilitation and Care)やイタリアの福祉車両メーカー(KIVI社、フォカッチャグループ)に訪問した際に大きな衝撃を受けた。欧州では障がい者と健常者の垣根が低く、非常に明るくアクティブに社会と関わり、その社会をサポートするための機器や車両が発達していることに驚いたからだ。

またイスラエルの福祉車両機器メーカーから聞いた話では、イスラエルでは福祉車両の改造費用をはじめ、車両代についても公的補助があり、高度な福祉機器を負担なく利用できるようになっており、おかげで機器の開発も進んでいるという。

──日本では見かけない車両や機器もたくさん存在するようだが、特に興味を持った製品を教えてほしい。

車いすユーザーにとって運転席に座る前に車いすをクルマに積み入れることが負担となる。この問題について、例えばイスラエルではトランクルームに車いすを自動で積み込む装置を開発したりしている。

またイタリアのKIVI社では、クルマの後方シートや運転席を取り外して、足を使わずに運転できるようにしている。ドライバーは車いすに乗ったまま車両後方(リアゲート部)より乗り込むことができる改造がされているようだ。ハンドルやアクセルがなく、ボタンで操作できる車両まである。

このように日本と欧州では、障がい者に対する考え方が根本的に異なるため、自操式福祉車両についても大きな差があると感じた。日本の障がい者にも欧州のように、できるだけ長く自分の好きなクルマで人生を楽しめるようにできないかと強く興味を持った。

意識面にハードル
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