<多くの問題が指摘されてきた外国人技能実習制度の「廃止」にまで踏み込んだ報告書のたたき台が示された。私もまずは好意的に受け止めたのだが......>
外国人技能実習制度の見直しを目的とする政府の有識者会議で、4月10日に制度の「廃止」にまで踏み込んだ報告書のたたき台が示された。
技能実習については、1993年の創設以降、深刻な人権侵害を含むさまざまな問題が指摘されてきた。少なくない実習生が来日前に多額の借金を抱え、悪質な事業者に当たっても転職すら許されないという仕組みに苦しめられてきた。
国際貢献の建前と人手不足の穴埋めという実態の乖離も隠しようがなく、いよいよ政府として大きく動かざるを得ないところまで追い込まれたと言える。
このニュースに対しては歓迎の声が多く飛び交った。私自身、技能実習の問題についてたびたび発信してきた経緯もあり、「廃止」という言葉をまずは好意的に受け止めた。
だが、会議で政府の事務局側が示し、有識者らも概ね賛同したとされる文書を読んで、それが技能実習の「廃止」という一言で済ませてよいような、そんなすっきりした内容ではないことが残念ながらすぐに分かった。
文書はこれまで有識者たちから出た多様な意見をまとめつつ、それを踏まえて今後の「検討の方向性」を示す形になっている。曰く「技能実習制度を廃止し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討すべきである」。
これを読めば誰でも「廃止」に目が行くわけだが、注目したいのはむしろ「人材育成」という言葉だ。
ポスト技能実習の新制度の目的を人材「確保」だけにするか、それとも「育成」も残すのか。そうしたせめぎ合いの末に「育成」が残った。この点こそが重要だと私は考えている。
理由を説明しよう。
そもそも現在の見直し論議の出発点となった古川禎久法相(当時)の昨年7月の発言はどうだったか。「長年の課題を歴史的決着に導きたい」としつつ、「国際貢献という目的と人手不足を補う労働力としての実態が乖離しているとの指摘はもっともだ」と述べている。
つまり、日本が途上国に対して「人材育成」で貢献するという建前の崩壊への認識こそが最初にあったわけだ。