国歌を歌うことも歌わないことも政治的な含意を避けられないなかで、「サッカーに政治を持ち込むな」という呼びかけはほとんど意味をなさない。もしイランの選手たちが国歌を歌うことのみが非政治的で望ましい振る舞いだと見なされるなら、そのまなざしは既に特定の仕方で政治的である。
FIFAは今大会に合わせて「FOOTBALL UNITES THE WORLD(サッカーは世界をつなぐ)」という標語を掲げた。リオネル・メッシなど数々のスター選手が出演するCMを見た人も少なくないはずだ。
確かにワールドカップは世界を結び付けるメガイベントで、だからこそあらゆる背景を持った人々がそこに関心を寄せる。
結局、ワールドカップを見ながらサッカーだけを見ることなどできない。中国の人々はマスクなしの観客を見たし、同性愛者の人々は虹色の「ONE LOVE」がそこにないことを見た。
そして各試合のフィールドを見ながら、私たちは数々の移民労働者が傷つき、そこで亡くなった場所をまさに見ているのだ。
<2022年12月20日号掲載>
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。
米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由
※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます