韓国では「親日家」は業績があっても、死後も批判を受け続ける

李総統の死に先立つ7月10日、韓国では朝鮮戦争の英雄、白善燁元陸軍参謀総長が逝去した。1950年の朝鮮戦争初期、絶体絶命の危機に瀕していた韓国を救ったのが当時師団長であった白善燁将軍である。彼は間違いなく朝鮮戦争において最高の功績を誇る軍人だ。彼は、当時韓国軍と共に戦った米国においても高く評価され、韓国に赴任した韓米聯合軍司令官や駐韓米国大使は彼の自宅を訪ね、挨拶を交わすことが長く恒例行事となっていた。

ところが彼の死後、韓国内で起こったのは彼に対する批判の声だ。彼は過去に満州軍の中尉、つまり親日派であるのだから彼を国立墓地に埋葬するのはけしからん、とい主張が聞こえてきた。これは韓国の左派陣営、与党を中心に広がった意見だ。朝鮮戦争における英雄だったとしても過去に日本に協力した人間を英雄として扱うべきではないという意見が優勢になるのが現在の韓国の姿だ。

見方によっては白善燁将軍と李登輝総統は共通点が少なくない。植民地に生まれ、日本あるいは満州国の将校を務め、終戦後にはそれぞれの祖国の為に大きな業績を残した人だという点だ。ところが一人は死後にまで親日派だったと非難を受け、もう一人は民主化の父として多くの人々から感謝されるなかで眠りにつき、追慕されている。

親日の国家の英雄は、「不都合な事例」?

もしかすると韓国が李総統の死についてあまりにも無関心を貫いているのは、他国では親日派も国家の英雄になれるということを認めたくない気持ちの表れなのかもしれない。少なくとも韓国の現政権の立場から見ればそれは「不都合な事例」に違いない。

ちなみに、昨年1月に元慰安婦の女性が亡くなった際には自ら葬式に参列し哀悼の意を表していた文在寅大統領は、白将軍の葬式には弔花を送ったものの参列はしなかった。今の韓国においては親日の過去を持つ「救国の英雄」よりも「(日本からの)被害者」がより重視されるということを大統領自ら示したのである。