アメリカのTPP離脱で、短期的には、RCEPがアジア太平洋地域でのメガFTA候補といえるが、TPPにとって代わるには不十分である。アメリカ抜きのRCEPは不完全である。

RCEPは、ASEANを中心とした「ハブ&スポーク構造」で成っているが、それぞれのFTA間の相違が極めて大きく、かつ、大国の指導力を欠いている。

◎FTAAPへの道筋について

RCEP協議では、今後の拡大発展を重視し、FTAAPへの発展の道筋を探るべきである。RCEPが先行するという状況下で、RCEPをレベルアップしつつ、(アメリカ参加の)TPPとの融合を求めるべきである。

世界第1位と第2位の経済規模をもつ米中両国が、グローバル・ガバナンスで協力するか否かは、世界経済を決定することになる。さらに開放的、かつ一体化した未来を手にするか、それとも、孤立主義に陥るか。

中米両国が共同でFTAAPを構築してこそ、アジア太平洋地区のグローバル・バリューチェーンの整合と、ウィンウィン関係の構築が可能となる。

──このように、総じて、RCEPの構築を急ぎ、その過程で、TPP並みのハイレベルのFTAを目指しつつ、アメリカの参加を得て、アジア太平洋地域のメガFTAとしてのFTAAPを構築する、という内容だったという。

根本的な部分で、「民主主義」という絶対に譲れない価値観のことを全くわかっていないようではあるが、状況の大変化に応じて、中国としてのポジティブな戦略を描こうとしていたことがわかる。

トランプ勝利という、米大統領選の結果が判明した直後の2017年11月20日、ペルーのリマで開催された第25回APEC首脳会議で、習主席は明言した。

「我々は揺るぎなく経済のグローバル化を先導し、あらゆる形態の保護主義に反対し、FTAAPを早期に構築する必要がある」。

そして2020年11月のAPEC首脳会談で、中国はTPP11 への参加意欲を表明していた。

今までに、APECを舞台に、TPPやRCEPなど複数の経済連携を踏まえて、FTAAPへの望ましい道筋について研究を重ねてきた。

そして今、中国が次のステップとしてTPPに加盟申請したのは、露ほども予測できなかった未来というほどではない。ただ、これほど早かったのは驚きだろう。

一帯一路FTA(経済圏)の構築

ところで、中国にはもう一つの戦略がある。

「一帯一路」戦略から、「一帯一路FTA(経済圏)」の構築というものだ。

中国メディアには、APEC参加エコノミーの大半が一帯一路関係国であり、「一帯一路戦略とFTAAPは、その関係国が共に発展するという目的を共有している」との論調が少なくなかったという。

習主席は、一帯一路戦略を「世界の公共財」といい、「これを共に推進することで、運命共同体を構築しよう」と強調してきている。

政治体制がネックに
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