彼らは部族制と、部族の長たち+長老たちの会議システムが存在する社会をもっている。これは国土の大部分を占める他の非部族地域とは異なる点だ。

他の非部族地域では、人々の接点となる正当な対話者を見つけることが課題となるのだ。

この南の地域は、親米政権によって成し遂げられた社会的・経済的進歩の恩恵をほとんど受けておらず、歴史的にも保守的で愛国心が強い。

19世紀に大英帝国の介入や支配に反対したのも、この地方だった。また、その後アフガニスタンが王国として独立して、アマーヌッラー・ハーン王は西洋流の改革を行おうとしたが、それに反対したのも、この同じ地方である(ハーン王は1929年に王位を失った)。

親米政府への反対の動きや、「反乱軍」への参加には、不正や、地域の政治的緊張に直面したときの反発が動機となっていることが多い。汚職、戦争そのもの、それに伴う暴力や、「巻き添え被害」が主な原因となっている。

このような苦しみは、アフガニスタンの田舎、特にパシュトゥーン民族が支配する南部に偏っているのである。

確かにタリバンは、すべてのアフガニスタン人に語りかけようとしていたのは間違いないようだ。

実際に戦闘員は、パシュトゥーン人だけではなく、民族構成が多様化している。各地で人を集めることに成功してきたのだ。

アフガニスタンは、多民族国家と言われる。民族の争いはないわけではないし、国王による少数民族への抑圧の歴史もあるが、人口の大半にとって、パシュトゥーン人と、ウズベク人(隣国ウズベキスタンに主流の人々)、タジク人(隣国タジキスタンに主流の人々)、は兄弟であるという。

しかしそれでも、アフガン・ナショナリズムは、危険性をはらんでいる。

なぜなら、たとえタリバンが、アフガニスタン人全員に呼びかけていたとしても、何よりもまず、深いところで民族的なものであり、厳密にパシュトゥーン人の利益を守ることに関連しているからだ。

それは、タリバンの誕生と深い関わりがある。

1980年代は、宗教を否定する共産主義国のソ連が、アフガニスタンに侵攻して支配していた。主要な反対勢力として、タリバンは生まれた。

南に住むパシュトゥーン人は、隣国パキスタンにも多く住んでいる。かつてこの地を支配した大英帝国が、民族を分割するかのように国境線を引いてしまったのだ。

80年代には、何百万人ものアフガニスタンの若者が、パキスタンのイスラム主義政党が南部に設立したコーランの大学で教育を受けた。

「タリバン」という名前は、パシュトー語で神学生を意味する「タリブ」に由来している。

これらの大学は、伝統的なイスラム教への回帰を唱える「デオバンド教義」というものに基づいている。

これにパシュトゥーン文化の要素や、アラビア半島に起こった「ワッハーブ主義」(復古主義的な立場で、イスラムの純化を目ざす近代の改革運動)の要素が加わっている。例えば、名誉の掟では、犯罪に対する報復や復讐などが重視されている。

この点では、最近の歴史の連続性が保たれている。タリバン現象は、ソ連との戦争後に、北部のタジク人が台頭してきたことへの反発から登場した要素があるのだという。

タジク人とは、アフガニスタンの北東にあるタジキスタン国に主流の人々だ。宗教は同じイスラム教スンニ派である。

以前、過激派だったタリバンが約6年間アフガニスタンを統治していたときは、国土の9割を支配した。「北部同盟」は、反タリバン勢力となって細々と抵抗を続けていた。リーダーだった大変有名なマスレード司令官は、タジク人であった。

2001年に同時多発テロが起きると、アメリカと有志連合は北部同盟の味方をして、タリバン政権をつぶしたのだった。

外国の介入は、現地の反目や争いを、いつも煽ったり激化させたりしてしまうのだ。

保守的なモスクが人々の中心

アフガニスタンのアイデンティティを形作っているのは、何と言ってもイスラム教である。一般のアフガニスタン人において、イスラム教は、どんな姿なのだろうか。

国内のスンニ派モスクの中では、首都カブールでさえも非常に保守的な説教が行われていることがある。

外国の大使館や、リベラルなエリートの眼鏡を通してのみアフガニスタンを見ることに慣れた分析者は、驚きを隠せないかもしれないという。

やや古い数字だが、2011年5月には、アフガニスタンには3325の「公式」モスクがあった。一方で、当局に登録されていない非公式の礼拝所は、6万を下らなかった。そこでは「過剰」を含んでいる。

もちろん、それらは、必ずしもイスラム過激派を支持しているわけではない。しかし、タリバンの論理と互換性があるほど、非常に保守的であることが多い。

アフガニスタンに滞在したことのある人ならば、住民の日常生活において、近くにあるこれらのモスクの重要性に気づくのだそうだ。

中央アジアにもたらされる危険
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