その前の7月8日、アフガニスタンの難民・本国送還大臣は、治安状況の急速な悪化のために、EUに「口上書」を送り、3ヶ月間、強制帰還を停止するよう求めていたのだ。

そして、首都カブールにあるEU代表部(大使館に相当)も、ほぼ同時に、帰還を中止するようにEU本部に求めていた。それにもかかわらず、6カ国はアフガン難民を送り返したいというのだ。

6カ国は、もし求めに応じたら、相手に間違ったシグナルを送ることになる。これからますます状況が悪化したら、一層欧州を目指す難民が増えてしまう。だから断固として、移民はこれ以上受け入れず、帰還させる態度を示さなくてはいけない──と考えたのである。

一方、スウェーデンとフィンランドは、この求めに応じた。

欧州人権裁判所の要請

一体誰が、書簡をベルギーのメディアに流したのだろう。わからないが、間違いなく批判したかったに違いない。

首都カブール陥落が目に見えてきて、アメリカ人もイギリス人も、軍の保護のもと脱出を始めている。ドイツも、国民に国外退去を勧告している。

フランスはといえば、7月に既に脱出済みだ(相変わらず逃げ足が早い......仏国民にとっては頼もしい限りだが)。

それなのに「自分たちは逃げているくせに! そんな危険な所に、欧州まで亡命してきた人々を送り返すのか!」と、人間として怒った人がいたのだろうと思う。

結局、8月2日、欧州人権裁判所からの明確な要請によって、オーストリアは、アフガニスタン国籍者の国外退去を、一時的に停止しなければならなくなった。そのような非人間的で非人道的、品位を傷つけることはできないという判断だったのだろうという。

この判決のために、ドイツもオランダも態度を変えて、すべての強制帰還を一時停止した。ベルギーでは、この書簡は「恥ずべきもの」と扱われているという。

この問題は、欧州人権裁判所の要請によって、一応の収まりは見せた。でも内心不満がタラタラな加盟国政府は少なくない。これからどうなっていくのか、注目が必要だ。

どのくらいのアフガン亡命者がいるのか

それでは、いったいどのくらい同国からの亡命者がいるのだろうか。

EUの統計機関であるEurostatによると、2020年にEUに入域した亡命希望者は、全部で約41万6600人だった。

そのうち、アフガニスタン人は4万4000件強で、10.6%を占めていた。

これは、シリア人(15.2%)に次いで2番目に多い。

ちなみに同年、フランスでは、アフガニスタンが亡命希望者の出身国のトップだった。8886件の申請があったのである。

そして、EU関係者によると、前述の共同宣言によって、今年に入ってから、EUからアフガニスタンに送り返されたのは1200人で、そのうち1000人は出国時に「自発的に」と説明され、残りの200人は「強制的に」出国させられたということだ。

極右台頭の最大要因
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