<パレスチナのあらゆる悲劇をイスラエルのせいと主張するメディアは多いが、実際に住民たちが感じていることとは大きな隔たりがある>

パレスチナのガザ地区に住む19歳の女性アファフは、トルコの大学で学ぶための奨学金を獲得し、必要な書類を全てそろえた。だが、ガザを実効支配するイスラム過激派組織ハマスの定めた「後見人ルール」に反していたためエジプト国境で追い返され、ガザから脱出することができなかった──。

AP通信は11月、このような記事を配信した。

「後見人ルール」は、イスラム教徒女性は後見人たる男性親族の付き添いなしに外出してはならない、というイスラム法の規定に由来する。ハマスはこれに基づき、女性がガザ領外に出るには後見人の許可を得ていなければならないとか、後見人は被後見人女性がガザ領外に出るのを止めることができるといったルールを適用してきた。

アファフは「正直、心が折れた」とAP通信に語った。彼女の未来を奪い、彼女をガザに閉じ込めたのはイスラエルではない。ハマスだ。

日本を含む世界中のメディアが、今もパレスチナのあらゆる悲劇はイスラエルのせいだと主張し続け、現実をその「鋳型」に閉じ込める報道に終始する傾向にある。しかしパレスチナでは今、アファフの事例のように、その鋳型では説明のつかない数々の事態が発生している。

イスラエル当局は今年9月、ガザ地区から7000人の労働者を受け入れると発表し、ガザの商工会議所にはイスラエルでの労働許可証を求め数万人が殺到した。彼らがイスラエルでの仕事を求めるのはガザに仕事がないからである。

ガザの経済状況は深刻だ。2021年の夏時点で失業者数は21万2000人に達し、失業率は約45%となった。サウジアラビアのテレビ局のインタビューに応じたガザ住民たちは、この15年間仕事も収入もない、生活が成り立たないと口々に語った。

支援金で贅沢な暮らしを送る

この現状はパレスチナを支配する自治政府とハマスの無策・無責任を露呈させている。彼らは国際社会から巨額の支援金を受け取っているにもかかわらず、人々の生活改善や雇用促進には全く無関心である一方、自らはカタールやトルコで贅沢な暮らしを送っている。

生活インフラを建設する代わりにイスラエルを攻撃するためのトンネルを掘り、ロケットランチャーを設置し、学校では和平や共存の代わりに武装闘争こそが正義だと教えている。彼らは悲劇の全てをイスラエルのせいにすれば、責任回避できると高をくくっているのだ。

住民は武装闘争より和平を望む
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