<禁止されても、飲みたくなるのが人情? 令和3年に振り返る世界各地の「お酒の思い出」>
【酒好きの男】
お酒の飲み過ぎで入院していたロシア人が、見舞いに来てくれた友人に言った。
「俺ももう長くはないだろう。もしものことがあったら、俺の墓には最高のウオッカをたっぷりとかけてくれないか?」
友人が答えた。
「分かった。そうしよう」
友人が続けた。
「でもそれは俺の内臓を通してからでいいかな?」
私が2年ほど暮らしていたルーマニアの代表的なお酒は「ツイカ」という蒸留酒。原料はプラムで、主に食前酒として愛飲されるが、アルコール度数は40度以上が普通というかなり強いお酒である。
私はこのツイカを毎日のように飲まされ続けたおかげで、だいぶお酒に強い体となった。
ルーマニアは冬が長く厳しい国だが、ツイカを飲むと体が内側から温まる。一方で、夏がジメジメと蒸し暑い日本では、キンキンに冷やしたビールが人気だが、お酒と気候の相関は深い。
また、ルーマニアはワインの生産も盛ん。驚いたのは、炭酸水で割る飲み方が一般的なことである。
当初は「もったいない」と思ったものだが、いつの間にかすっかり慣れ、違和感もなくなってしまった。このような飲み方は、実はヨーロッパのあちこちで親しまれている。
イラクに「もぐりの酒屋」
中東と聞くと「飲酒がタブー」というイメージが強いかもしれないが、実際には国によってかなりの差が見られる。
トルコには「ラク」というブドウの蒸留酒がある。アニスで香りを付けたこの蒸留酒は無色透明だが、水で割ると白濁するため「ライオンのミルク」とも呼ばれる。
アラビア半島では「アラック」と称されるが、江戸時代の長崎では「阿刺吉(あらき)」という酒が取引されていたという。おそらく同じものであろう。
レバノンでは多様なワインやビールが生産されている。レバノンのワインは一説には「世界最古のワイン」とも言われるが、20世紀にフランスの植民地となった影響もあり、フランスワインに似た芳醇な風味が特徴となっている。