第1回目のコラムで指摘したように、林鄭は中央政府の意向に逆らって独断で逃亡犯条例の撤回を断行したが、それでも中国の最高指導者として香港問題に責任を負いたくない習は結局、彼女に任せるしかない。すくなくとも習としては自らでなく林鄭の手を汚させることによって、混乱を収束させたいのだろう。

【参考記事】第1回コラム「香港長官「条例撤回」は事実上のクーデター」

何もできない立場である韓正も、実は彼なりにホッとしているかもしれない。「香港任せ」の基本方針は習が自ら決め、事態収拾のための汚い仕事は全部林鄭がやってくれるのなら、韓正自身は今後一切責任を負う必要がない。失敗しても成功しても、自分の責任にはならない。

今の共産党政権は、いわば習近平個人独裁の下、文字通り「集団的無責任体制」になっている。香港危機が発生して5カ月経っても一向に沈静化できない理由の1つはここにある。

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