機械翻訳は便利だが、人間の翻訳者ほどの質は得られない

この連載でこれまで紹介してきた、街で見かけた妙な英語の一定数は、機械翻訳によるものだと思われます。機械翻訳は使いやすいし、誰でも利用できます。しかし、それと同時に落とし穴も多いのです。

いくら質のよいアルゴリズムで動いていても、人間の翻訳者ほどの質は得られません。特に日本語の場合、主語がなかったり、婉曲的な表現が使われたり、「一を聞いて十を知る」のように読者の想像力に頼るような書き方をされたりする文が多く、それらを機械で翻訳するのはかなり厳しいように思われます。人間だったら明記されていない部分を推測できますが、コンピューターはそれを得意としていません。

ちなみに、このような機械翻訳機能が付いているのは厚労省のサイトだけではないそうです。ツイッターで毎日新聞記者の和田浩明さん(@spearsden)からはこのようなコメントがありました。


自治体で「機械翻訳」で多言語発信しているところ、英語を見る限り、めろめろで意味不明ですよ。よっぱらいの寝言よりひどい。そのうち、えらいことになる。ああいうものを納品する業者も業者だと思う。誰のためにもなっていない。

日本に住む外国人にとって、政府や自治体が提供する情報はとても大切です。なぜ政府の機関は機械翻訳、それも質の低い機械翻訳に頼っているのでしょうか? プロフェッショナルの翻訳者に頼むほどの予算がないでしょうか?

ツイッターで@Kumappusさんは以下のような仮説を述べていました。


これ、もしかすると毎度毎度お馴染みのゼロリスク病の裏返しかも。
・役所内のできる人が翻訳しようとするとミスしたときに吊るし上げられるから外注
・受け取ったものをチェックしておかしいと思ってもミスを指摘してそれが間違いだと吊るし上げられるから放置

もしそれが当たっているのであれば、非常に残念です。

今の時代、日本の組織は外国語で迅速かつ正確な情報発信をすることが期待されています。是非とも、もっと努力をしていただきたいと思います。

【参考記事】すでにTOEIC960点越え、日本の第一人者に「国産」機械翻訳について聞いた

【参考記事】英語学習は不要になる? どんな能力が必要に? 機械翻訳の第一人者に聞いた

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