この結果だけを見ると極的雇用改善措置はある程度効果があったように見える。しかしながら、積極的雇用改善措置制度は、常時雇用労働者 500人以上の中堅企業や政府関連機関等だけが対象になっており、全企業数の99.9%を占めている中小企業に対する改善措置は行われていない。

労働政策研究・研修機構の『データブック国際労働比較2019』によると、韓国の就業者及び管理職に占める女性の割合は、それぞれ42.7%と14.6%に留まっており、アメリカ(46.9%、40.7%)やスウェーデン(47.6%、38.6%)を下回っている(日本は44.2%、14.9%)。また、男性労働者の平均賃金水準を100としたときの女性の賃金水準は2017年現在65.4でOECD平均86.2と差を見せている。

積極的雇用改善措置制度が施行された2006年は、『1982年生まれ』での女性主人公が大学を卒業し労働市場に参加したころであり、女性は出産・育児により男性よりも離職しやすいので雇わないという「統計的差別」*が企業の中に蔓延していた時期だと言える。

*統計的差別とは、個人の事情を考慮せず、個人が属するグループ等の過去の統計データの平均に基づいて、その個人に不利な判断をすることを言う。

積極的雇用改善措置制度の施行により中堅企業や大企業を中心に女性がより活躍できる社会になったことは確かであるものの、いまだにも女性に対する「統計的差別」は根強く残されており、まだ改善の余地は多い。韓国政府は、今後、積極的雇用改善措置制度の対象企業を拡大すると共に女性に対する統計的差別等をなくすことにより女性が活躍できる社会を構築するための対策に最善を尽くすべきである。

ただし、積極的雇用改善措置制度の基準をクリアするための資格を満たしていない女性社員が昇進・昇格することにより、男性社員のモチベーションが下がらないよう制度の活用には万全な注意を払う必要がある。