今回の李の港湾売却がどうなるかはまだ不明だが、中国のポピュリズムの愚かさは一目瞭然だ。政府や官製メディアが意図的にあおる側面もあるが、「李嘉誠をつるせ」というネット上の過激な反応は、政府の想定を超えた富裕層への嫉妬や不満も含む。教育やメディアによる刷り込みだけでなく、経済格差や生活不安がポピュリズムを増幅させている。
この政府にして、この人民あり。そして、この人民にして、この政府あり。中国の不動産市場が最も好調だった10年代に、李はなぜか中国本土の資産を大量に売却した。この国は決して長居する場所ではないと、誰よりも前から悟っていたのだろう。その先見の明と決断力ゆえに、彼は華人として世界一の資産家に成り得たのだ。
ポイント
李嘉誠
日中戦争を逃れて1940年に香港へ。父が結核で死去し、学業を断念して働き始めた。プラスチックの造花事業が当たり、不動産業に転身。89年の天安門事件後、中国投資を増やして成功した。
匯源果汁
1992年創業。国内に50以上の工場を持ち、100%果汁ジュース市場で50%以上のシェアを誇った。買収提案したコカ・コーラは、犯人不明のハッキング被害にも遭ったとされる。
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。
米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由
※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます