ローマ皇帝ハドリアヌスの追放劇

そもそも、移住が実現可能なのか疑わしい。100万人もの人を輸送することなど可能なのか。それに、ほぼ無政府状態のリビアのどこに移住させるのか。移住先で人々はどのような生活を送るのか。

そして何より、ガザのパレスチナ人は移住を望んでいない。「パレスチナ人は祖国に深く根を張って」おり、「最後まで戦う」覚悟だと、ガザのリーダーは述べている。「パレスチナ人がどのように行動するかを決める権利は、パレスチナ人にしかない」

ある集団を丸ごと強制的に祖国から追放するという不正義がどのようなものかは、ほかならぬユダヤ人が身をもって経験してきたことだ。ローマ帝国の皇帝ハドリアヌスは西暦135年のバル・コクバの乱を鎮圧した後、ユダヤの地からユダヤ人を追放し、その地を「パレスチナ」と改名した。

イスラエル政府と「皇帝トランプ」は、2000年近くユダヤ人と世界を悩ませてきた過ちを繰り返すのだろうか?

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます