歴史的成功を収めたサッカー代表チームは、モロッコにとって、さらにはアラブ世界全体やかつて西欧の植民地だった全ての国々にとっても英雄だ。1999年以降のおおむね順調な経済・社会発展の輝ける証しでもある。彼らのスキルと情熱、喜びに満ちたプレーを、準決勝で彼らを破ったフランス代表も含む世界中が称賛した。
しかし、モロッコ代表のスキル向上と野心や期待の高まりは、モロッコの政治体制への圧力を強める社会変化と潮流の象徴でもある。今後は国王から中産階級に一部の政治権力が移譲されるか、それを政情不安抜きで実現できるのかが課題になる。
村々にやって来た電球は、モロッコに世界のサッカー勢力図を揺るがすチームを与え、一方でこの国の権力構造を揺さぶっている。ただし、それは明日の問題だ。今は全世界がアトラス・ライオンズ(モロッコ代表の愛称)に喝采を送っている。
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