不合理な主張だが、同時に根本的な問いでもある。

いわゆる「神話」や理想は、私たちが何を信じ、どう生きるかを規定する要素だ。目標として提示される夢がなければ、現実は無意味な幻想と化す。

この考え方に従えば、眞子さんの人生と愛は完璧でなければならない。日本人がこの国の理想を信じ、私たちは太陽の女神の子孫だと自分に言い聞かせることができるように。

眞子さんの結婚には、もっと俗世的な問題もある。

日本は家父長主義的傾向が極めて強い社会だ。眞子さんが21世紀の女性として自立した生活を送ろうとすることは、昔ながらの社会的慣習を壊し、常日頃から皇族の在り方に象徴される文化の継続性を擁護する自民党の立場を悪くしかねない。

眞子さんと小室氏に対する日本人の要求は過酷すぎる。彼女が誰と結婚し、どう生きるかによって、日本の国の在り方、社会における女性の役割、あるべき社会秩序をめぐるジレンマが解決できるわけではない。

それでも日本人にとって、理想の皇室像は眞子さんと小室氏より重要な概念だ。

日本人は今後も想像上の、時には矛盾した理想に従って生きようとするだろう。たとえプリンセスが不完全な存在で、彼女の愛や希望が庶民と同じだったとしても。

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