<もはや宗教行事とも言えないクリスマスを祝うイベントを禁止するのは、自分たちの文化や伝統に対する自信のなさの表れ>

読者の皆様、新年好(新年おめでとう)!

多くの中国人にとっては旧暦の春節が新しい1年のスタート。太陽暦の1月1日はそれほど大きな記念日ではないが、それでも家族でレストランに行くなど、それなりにこの「洋節(西洋イベント)」を楽しむ。

現在の中国人にとって、一番大きな西洋イベントは「聖誕節(クリスマス)」だ。キリスト教徒でもないのに、街に繰り出して日本人顔負けのバカ騒ぎをする。

この動きにいら立つわが故郷・湖南省の共産党組織が昨年末、「洋節を祝うな!」と幹部の党員に指示。それだけでなく、クリスマスパーティーにこっそり参加した幹部の名前を通報するタレこみ電話を設置した。各地で大学が学生に「クリスマスにおけるバカ騒ぎ禁止令」を出すケースも相次いだ。

トップの習近平(シー・チンピン)が直接の指示を出したわけではなく、地方組織や大学がそろって忖度したらしい。「震源」は、17年1月に国務院が発した「中国の伝統的な祝日をもっと盛り上げよ」という方針のようだ。

さらに中国の熱狂的な毛沢東支持者は、「中国人はクリスマスでなく毛沢東の誕生日を祝え、毛沢東が中国の聖人だ!」と街頭で叫んだ。中国以外では知られていないが、共産中国を建国した毛の誕生日はクリスマスの翌日、12月26日だ。

そもそも共産党員は宗教を信じることを禁止されている。だからといって、もはや宗教行事と言えないバカ騒ぎを禁止し、やたら「中国伝統の祝日押し」をするのは、逆に自分たちの文化や伝統に対する自信のなさの表れでしかない。

「清く正しい」共産主義を信じたまま死んだ毛沢東だが、今の中国にはびこっているのはカネだけが正義の拝金教だ。昨年暮れに私がプレゼンテーターとして参加したマカオ国際映画祭について、ある有名中国人女優が「賞の受賞者は初めから決まっている!」とブチ切れる騒ぎが起きた。今の中国で栄誉を勝ち取るのに必要なのはコネ、そしてカネだ。

毛沢東がもし「聖誕老人(サンタクロース)」としてキャッシュレス化が進む今の中国に復活したら......配るのは配給券でも現金でもなく、支付宝(アリペイ)の紅包かもしれない。

【ポイント】

支付宝(アリペイ)


支付宝はアリババが始めたモバイル決済サービス。中国を一気にキャッシュレス社会に変えた。

紅包(ホンパオ)

ご祝儀の意味の中国語。支付宝の紅包システムを利用して、ユーザー同士がキャッシュレスな祝儀を贈り合っている。

本誌2018年1月16日号[最新号]掲載


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