だがスナイダーは、2017年のベストセラー『暴政(On Tyranny)』(邦訳・慶應義塾大学出版会)から一貫して説いてきた助言を自ら破り、アメリカから逃亡した(本人は個人的な理由による移籍であり、子供たちのことが決定打になったと語っている)。莫大な印税収入と講演料を稼ぐスーパースター研究者でも、アメリカに残ってトランプの政策に反対できないのであれば、その他の学者は言わずもがなだ。

今のアメリカで最もホットなコメディー界の新スターの1人ニッキー・グレイザーも、トランプ派の攻撃や政権による拘束が怖いのでトランプがらみのジョークを完全に避けようと本気で考えていると告白した。権威を笑い飛ばすリスキーなジョークでキャリアを築いてきた彼女が、である。

否定と風刺を生業とするグレイザーが恐怖と共に生きているのだとしたら、現在のような敵対的環境に慣れていない政治オタクの私はどうなるのだろうか。
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