■選挙制度

見落とされがちだが、選挙制度の仕組みにより、本選挙ではそもそも共和党候補がかなり有利になっている。民主党支持者が都市部に集中する傾向が強まっているのに対し、共和党支持者は地方に多いため、民主党支持者の1票の重みは共和党支持者より軽い。

民主党の地盤であるカリフォルニア州の有権者の1票の重みは、共和党の地盤であるワイオミング州のおよそ4分の1。バイデンが当選するには、得票率でトランプを5%上回らなくてはならない可能性が高い。

有利になるのは?──主としてトランプ。

■経済

政治学者は、選挙予測を精緻な数値モデルや深遠な歴史的考察で飾りたがるが、米大統領選をめぐる真理の1つは、景気がよければ現職が勝ち、景気が悪ければ現職が負けるというものだ。

現在、アメリカの景気は堅調だが、有権者はそうは感じていない。

世論調査によると、経済運営の手腕に対する評価ではトランプがバイデンを大きくリードしている。

ただし、景気が急速に冷え込まなければ、バイデンは今後、景気の堅調ぶりをもっとアピールできるかもしれない。

有利になるのは?──どちらとも言えない。

■国際情勢

ウクライナに続いてパレスチナでも戦争が始まり、世界の分断と不安定化が進んでいる。ミサイルの誤射が1発あるだけでも、第3次世界大戦が勃発しかねない。

この要素は、バイデンに有利に働きそうに思えるかもしれない。

アメリカ人は、有事には軍最高司令官である大統領を支持する傾向があるし、不安定なトランプよりバイデンのほうが冷静な印象があるからだ。

しかしトランプは、自身の政権下では一連の戦争は起きなかったと強調し、弱腰のバイデンがハマスやイランやロシアをつけ上がらせたと主張するだろう。

有利になるのは?──どちらとも言えない。

◇ ◇ ◇
現時点では、どちらの勝利にも大金を賭ける気にはなれない。強いて言うならば、今日の段階ではトランプのほうが優勢だろう。

とはいえ、現職のパワーは侮れない。バイデンの巻き返しが始まる可能性は高い。

2024年11月5日の大統領選投開票日には、またしても当選者がなかなか明らかにならず、私たちはテレビやインターネットにかじりついて夜更かしすることになるかもしれない。その日に備えて、今のうちに「寝だめ」しておこう。

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