カバノーをめぐる一連の動きは、アメリカの政治がすっかり党派対立に毒されてしまったことを改めて浮き彫りにした。

今となっては皮肉な話だが、カバノーは90年代、私生活上のスキャンダルに関連して当時のクリントン大統領を弾劾訴追すべきだと強硬に主張して、有名になった。この時期を境に、アメリカ政治の党派対立はひときわ先鋭化していった。

そのカバノーが逆に追及を受ける側に回った今日、党派対立はいっそう激しくなっている。リンゼー・グラム共和党上院議員の態度は象徴的だ。16年大統領選の共和党予備選の段階では強硬な反トランプ派だったが、今ではすっかりトランプの子分に変身している。次期司法長官の椅子に色気を見せているとも言われる。

27日、グラムは公聴会でカバノーに厳しい質問が続く状況への怒りを爆発させた。民主党議員を激しく非難し、「こんなに卑劣な行為は見たことがない」とも述べている。

分別のある人たちはみな、カバノーの性的暴行疑惑について全面的な捜査を求めている。それなのに、四半世紀に及ぶ連邦議員経験を持つベテラン政治家であるグラムが感情をむき出しにして、身内をかばう発言をした。アメリカの政治はこれほどまでに常軌を逸し、党派対立に汚されてしまったのだ。

本誌2018年10月09日号掲載

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