日本の自動車メーカーやメガサプライヤーはコンセプトカーの展示にとどまり実用化にはまだ数年を待たなければならない状況。グーグルのウェイモでも2018年12月にようやく限定的な条件の中で自動運転タクシーの商業化をスタートさせたばかりのタイミングです。中国全土21カ所で展開する一方、すでに量産化に入っているという状況のバイドゥは、「2018年から自動運転バスの社会実装に入った企業」と表現しても差し支えないでしょう。
自動運転バスはあらかじめ路線が限定されていることなどから比較的実用化しやすいセグメントと見られており、バイドゥの発表内容からは、同社がきわめて戦略的に自動運転バスから社会実装をスタートさせたと分析できます。自動運転車の量産化・収益化にもっとも近い位置にある企業が、自動車メーカーではない、中国のテクノロジー企業であることには大きな衝撃を覚えます。
「アポロ」は数多くのパートナーを巻き込みながら急速に勢力を拡大しています。バイドゥも自動運転バスはその第一弾に過ぎず、最終目標は乗用車等での社会実装で先駆者となることにあるのは明らかです。アポロの強みは、やはり国策プラットフォームであることでしょう。中国政府は自動車産業政策にしてもAI産業政策にしても、表面的には国際協力や開放といった概念を強調しています。
もっとも中国国内のプラットフォームにはなれたとしても、今後は本当に世界を巻き込んでいくことができるのかどうかが難問として立ちはだかってくるはずです。バイドゥには、テクノロジー中心志向から顧客中心志向への進化もまた求められているのです。
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