年初から中国株安が止まりません。中国政府に求められるのは、まずは、市場を歪める政策対応で混乱を長引かせることをやめることです。そして、景気減速に歯止めをかけることが最も重要です。株式市場を取り巻く経済のファンダメンタルズを改善することこそが、遠回りに見えて、実は、株価底入れの近道だと思えます。

 中国の株式市場が年初から大荒れの展開となっています。代表的な株価指数である上海総合株価指数は2016年1月26日に前日比6%以上下落し、年初からは2割以上急落しました。その背景には、歯止めのかからない景気減速や、年初の元安進展がドル建て債務を抱える企業の返済負担増加懸念を高めたことがあります。しかし、それだけではありません。当局による政策対応の拙さが嫌気され、投資家が株式市場からそっぽを向いてしまったというのも大きな要因でしょう。

 年初から導入されたサーキットブレーカー制がそのいい例です。相場が一方向に振れやすく、1日の株価の値動きが大きくなりがちな中国市場で、15分間の取引停止時間中に冷静になって欲しい、という方が無理な話です。結局、サーキットブレーカー制は売り圧力を高めただけで、導入後4日間で暫定停止とされました。

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 他にも、昨年7月8日に証券当局は、大株主に対して向こう6ヵ月間の株式売却を禁止しました。保有株を自由に売れないという政策はそもそも大問題です。しかし、こうしたなりふり構わない政策を実行した以上、その後始末をきちんとすることも当局の務めです。普通の政策当局者なら売却禁止期間明けのソフトランディングを考えるものですが、年が明けても対策は発表されず、売却解禁を前に株式需給悪化を懸念した思惑売りが急増しました。大株主の株式売却に制限をかけたのは、株価急落後であり、対応は完全に後手に回ったのです。

中国政府は株価を制御できない

 個人投資家が売買代金の8割を占める市場で、残りの2割の機関投資家をいくらコントロールしても株式市場を制御することは不可能です。にもかかわらず、中国政府は株式市場をコントロールできるとの認識を持ち続け、様々な政策対応を打っているが、それが効かなかったり、裏目に出ているというのが、今、中国の株式市場で起きていることです。

 それでは、株価急落による中国経済への影響はどうなのでしょうか? 結論を先に言いますと、影響は限定的です。上海総合株価指数は、昨年は6月中旬にかけて急騰し、年初からは6割近く上昇しましたが、消費への影響は小さく、自動車も売れませんでした(10月以降は車両購入税の半減措置によって販売が急増しています)。日本では、中国の人々は老いも若きも株式投資に熱中しているとの印象があるかもしれませんが、人口に対する証券口座開設数は日本よりも少ないのが実情です。また、株価と消費の連動性は低い一方で、住宅価格と消費の連動性は比較的高くなっています。幸いなことに、中国の住宅価格(前年同月比)は2015年10月に14ヵ月ぶりに上昇に転じ、その後も上昇傾向が続いています。