情報コミュニティーの政治化が米情報機関をマヒさせる

同誌は3つの可能性を挙げる。米国が協定を破棄し、カナダをファイブ・アイズから追い出す。第二に同盟国がトランプ政権からの情報漏れを恐れて情報共有を控える。最も可能性が高いのは情報コミュニティーの政治化が米情報機関をマヒさせ、同盟国にも波及するシナリオだ。

エコノミスト誌によると、1970年代に英政府通信本部(GCHQ)長官だったアーサー・ボンサル氏は「ファイブ・アイズの情報共有は遅延することさえ許されない」と書き残している。2003年のイラク戦争で米国とカナダが対立した時でさえファイブ・アイズは例外だった。

米国は地球規模の監視ネットワークを管理しているものの、英国は暗号解読、サイバーセキュリティー分野を主導。カナダは1940年代から北極圏における旧ソ連(ロシア)の通信傍受を担い、オーストラリアは中国の動向を監視している。

ウクライナ戦争を通じてロシア、中国、北朝鮮、イランが結束を強める中、孤立主義者のトランプ氏はNATOやファイブ・アイズの礎になってきた信頼関係をも破壊しようとしている。貿易赤字や財政赤字の解消と世界の安全保障を天秤にかける影響は計り知れない。

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