児童性的虐待・搾取は世界中に広がる病理

マスク氏が英国の国家的スキャンダルを執拗に蒸し返すのは移民規制の強化を唱えるトランプ氏の政策を支持する世論を西側諸国に広げたいからなのだろう。

児童性的虐待・搾取を防げなかったのは英国政府が戦後の労働力不足を補うため大量の移民を受け入れながら問題に目をつぶってきたことが背景の一つにある。マスク氏の指摘は短絡的で扇情的だが、背景に長年にわたる英国政府の不作為があったのは間違いない。

イヴェット・クーパー英内相は、児童性的虐待を隠蔽したり報告しなかったりした者は今年導入される新しい法律の下で職業上または刑事上の制裁を受ける可能性があると表明した。英国の闇は多文化主義という仮面の下、覆い隠されてきた。その罪は重い。

しかし児童性的虐待・搾取は英国社会だけでなく世界中に広がる病理であり、マスク氏のようにスターマー氏や労働党政権を攻撃するだけでは何の解決策にもならない。

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