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クレア・バートシンガーさん(左、筆者撮影)

現地スタッフは「飢えているのは私たちの家族であり、いとこであり、友人だ。何のしがらみもないあなたに選んでもらうしかない」とクレアさんに助ける命を選択する過酷な仕事を委ねた。失われる930人超の命より、救える60人余の命だけを見つめ、神の許しを乞う毎日だった。

現地の惨状を伝える英BBC放送を視たアイルランド出身のロック歌手ボブ・ゲルドフは「おれたちにできることは何か」という衝動に突き動かされる。バンド・エイドを結成し、クリスマス前にチャリティーソング『ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス』をリリースする。

「黒人を救う黒人はいない。それについてどう思う」

この動きが『ウィ・アー・ザ・ワールド』につながっていく。『バナナ・ボート』の大ヒットで知られ、国連児童基金(UNICHF)と協力してアフリカ支援を展開していたハリー・ベラフォンテ(故人)はプロデューサーのケン・クレーゲン(同)を通じてライオネル・リッチーに連絡を取る。

ライオネル・リッチーは英ドキュメンタリー映画『スタンド・トゥギャザー・アズ・ワン』の中でこう明かしている。

「ハリーは私に電話をかけてきてこう言ったんだ。白人(ボブ・ゲルドフ)が黒人を救う。それは素晴らしいことだ。でも黒人を救う黒人はいない。それについてどう思う、ライオネル、と」

「エゴはドアの外に置いてきて」
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