中国・雲南省の鉱山、過去にコウモリのふん除去で3人死亡 コロナ起源探しで注目

2021年6月14日(月)12時35分

米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は、2012年に中国・雲南省の鉱山で作業後に体調が悪化した作業員6人の情報を公開するよう中国に求めており、新型コロナウイルス感染症(COVID─19)の起源を探す上で重要な取り組みの1つとして注目を集めている。

これらの作業員は年齢が30歳から63歳で、12年4月にこの銅鉱山でコウモリのふんの除去作業を行った。数週間後に、しつこい咳や高熱、頭痛、胸の痛みなどの症状により、雲南省の省都・昆明の病院に入院。最終的に3人が死亡した。

問題の鉱山がある中国南西部の墨江は、新型コロナウイルス感染症が最初に見つかった武漢から1500キロほど離れている。

作業員6人について分かっていること

6人の経歴の詳細は不明だが、昆明医科大学の大学院生Li Xu氏が13年に執筆した論文で姓、年齢、診断書の内容などが明らかになった。

Li氏の調査結果は中国の学術論文のアーカイブ「cnki.net」で今でも閲覧可能で、6人各々の症状を分析し、キクガシラコウモリから「SARS(重症急性呼吸器症候群)に似た」コロナウイルスに感染したと結論付けている。

科学者らが12年末に再びこの鉱山を調査し、「墨江ウイルス」として知られるようになった病原体のサンプルを見つけた。この病原体はネズミで見つかり、COVID─19を引き起こす新型コロナウイルス(SARS─CoV─2)とは無関係だった。その後の調査では、この病原体が作業員6人を発症させたのかどうかは確認できなかった。

中国におけるコウモリのウイルス研究の第一人者である、武漢ウイルス研究所の石正麗氏によると、作業員で見られた肺炎に似た症状は真菌感染によって引き起こされた。また石氏らのチームが昨年11月に発表した報告によると、患者4人の血清サンプル13検体を再検査したが、新型コロナウイルスに感染した証拠は見つからなかった。

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