コロナ禍を上手く乗り切っているのはどの国か?-50か国ランキング(2021年5月更新版)

2021年5月19日(水)11時41分
高山武士(ニッセイ基礎研究所)

*この記事は、ニッセイ基礎研究所レポート(2021年5月12日付)からの転載です。

1.結果の概要:20年の1位は台湾、足もとでは中国の評価が高い

2020年7月に新型コロナウイルスの感染拡大に対する影響について各国の状況を概観するために、「コロナ被害」および「経済被害」を数値化した上でランク付けし、10月および今年2月に更新版を作成してきた1。本稿は2021年5月上旬までの状況を踏まえたランキングの更新版である。

前回の更新版で言及した通り、コロナ禍は長期化しすでに1年以上が経過している。

そこで今回の更新版の作成にあたっては、2020年末までの時点でいったんランキングを確定させ、2021年以降の状況に基づいた評価を新たに行っている。

2020年の評価については、主に昨年春や冬の感染拡大大期の対応結果が反映されたもの、21年以降の評価については、最近のワクチン接種や変異株の流行への対応がより反映されたものとなっていると思われる。

5月9日時点までのデータをもとに再評価をしたところ、結果は以下の通りとなった。




【評価結果】

・2020年の総合順位は、台湾・韓国・ノルウェーの順に高評価となった。
・2021年の総合順位(現時点)は、中国、ニュージーランド、ノルウェーの順に高評価となった。
・21年の評価が低い国は、21年2月のランキングに続き欧州及び南米に多い。これらの国では感染者数が多く、また成長率も大きく落ち込んでいる傾向にある。ただし、欧州でも主に北法では順位の高い国がある。


1 前回の更新版は高山武士(2020)「新コロナ禍を上手く乗り切っているのはどの国か?-50か国ランキング(2021年2月更新版)」『経済・金融フラッシュ』2021-02-15。本稿の分析対象国は、前回の対象国(MSCI ACWIの指数を構成する 49 カ国・地域)に加えて、問い合わせの多かったベトナムを加えて50か国・地域としている(新規にMSCI ACWIに追加されたクウェートは除いている)。また、中国と記載した場合は中国本土を指し香港は除くことし、香港等の地域も含めて「国」と記載する。評価は、「コロナ被害」(感染拡大)と「経済被害」をいずれも小さく抑えている国という観点から実施し、具体的には「コロナ被害」は「①累積感染者数」「②感染拡大率」「③致死率」のデータ、「経済被害」はコロナ禍によって失われたGDPの損失を推計して評価している。より詳細な手法については、次のレポートを参照。高山武士(2020)「新型コロナウイルスと各国経済-コロナ禍を上手く乗り切っているのはどの国か?49か国ランキング」『ニッセイ基礎研レター』2020-07-03

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