カリフォルニア州で急速に広がる変異株、重症化率が高い可能性も

2021年2月25日(木)16時30分
アリストス・ジョージャウ

<感染率と重症化率の高さから「要警戒」だと研究チームが警告>

カリフォルニア州で見つかった新型コロナウイルスの新たな変異株は、既に州内の一部地域に定着しつつある。どんな特徴を持つのか。

新たに特定された変異株はB.1.427とB.1.429。わずかな違いはあるものの、いずれも同じような一連の遺伝子変異を持つ。その中には、ウイルスの表面にある突起状のスパイク・タンパク質の形成に関わる3個の遺伝子も含まれる。

スパイク・タンパク質はウイルスがヒトの細胞と結合し、細胞内に侵入するのを助ける。B.1.427とB.1.429が持つ遺伝子変異の1つ、L452Rはスパイク・タンパク質の細胞への結合力を高め、ウイルスの感染力を高めるとみられる。

この2つの変異株は、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の研究チームが2020年12月に特定した。出現したのは2020年の春の終わりから夏にかけてと推測されている。今では少なくとも全米の45州と世界の数カ国で見つかっているが、広く定着しているのはカリフォルニア州だけだ。

UCSFチームが州内での変異株の広がりを報告した論文は、査読前の段階でオンラインジャーナルに掲載され、ニューヨーク・タイムズや科学誌サイエンスなど主要メディアがその内容を伝えている。

中和抗体に抵抗性

UCSFチームは2020年9月1日から2021年1月29日までにカリフォルニア州の44の郡で患者から採取した2172の検体を分析。入手した検体に占める変異株の割合は調査期間中に0%から50%に跳ね上がったと報告した。

今では変異株の感染者が18日ごとに倍増するペースで増えていると、チームはニューヨーク・タイムズに語っている。

変異株は感染力が強いばかりか、重症化率も高いことを示すデータも提出されているが、はっきりした結論を出すにはさらに調査を行う必要がある。

「この変異株には警戒を要する。私たちのデータでは、感染性が高く、重篤な症状との関連がより強く疑われ、少なくとも部分的には(ウイルスの細胞侵入を阻害する)中和抗体に抵抗性を持つ可能性があるからだ」と、論文の上級執筆者で感染症専門医であるUCSFのチャールズ・チウはサイエンスに語っている。

チームは論文で「B.1.427とB.1.429を要警戒・変異株に指定し、その広がりを監視すべきだ」と警告している。

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