ポンペオ米国務長官の「対中苛烈批判」に見る中国理解の浅さ

2020年7月27日(月)16時30分
ジェームズ・パーマー(フォーリン・ポリシー誌シニアエディター)

実際、トランプは中国の習近平(シー・チンピン)国家主席との取引(ディール)を望んでいる。トランプは公然と習を称賛してきたし、ボルトン前国家安全保障担当大統領補佐官によれば、新疆ウイグル自治区での中国当局による強権的な措置に理解を示し、2019年の香港の民主化デモには無関心だったという。政権内のビジネス重視派も、デカップリングには慎重なように見える。

それでも、ポンペオの発言などによって米中間の緊張が高まれば、中国側が主導してデカップリングへ向かわざるを得なくなる可能性もある。

アメリカに譲歩することは、習にとって政治的なリスクが大きい。その点を考えると、中国政府が対立のエスカレートを回避するための賢明な選択をすることも期待できそうにない。

From Foreign Policy Magazine

<2020年8月4日号掲載>

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