エスカレートする軍事演習......アメリカとロシアの新冷戦が近づいている

2020年2月21日(金)19時00分
ウィリアム・アーキン(軍事アナリスト)

ロシア南部軍管区の発射訓練 ASS/AFLO


ロシア国営タス通信はロシア軍機の緊急発進が過去3年で10倍になったと伝えた。一方、米空軍の機密文書によれば、NATO側の緊急発進は4倍に。6月にロシア軍機がバルト海を航行中のスペイン海軍の艦船に異常接近した際、NATOは激しく抗議した。

5月の演習シーズンが始まり、欧州連合軍はスカパロッティに代わってトッド・ウォルターズ空軍大将が最高司令官に就任。最優先課題の1つはロシア軍のワレリー・ゲラシモフ参謀総長と軍事的「衝突回避」について話し合うことだった。ウォルターズはスペイン海軍の一件の数日前には、アメリカの「抑止」活動の成果でロシア側の「軍人らしからぬ振る舞い」が減ったと報道陣に語った。

2人がアゼルバイジャンの首都バクーで再び会談した7月10日、ウクライナ海軍は、シーブリーズの実弾演習中にロシアの駆逐艦が立ち入り制限区域に侵入したと報告。NATO側の無線による警告に対し、ロシアの駆逐艦は「通信トラブルが発生しているふりをした」という(ロシア軍の黒海艦隊は否定している)。

冷戦に逆戻りだ。

<本誌2020年2月25日号掲載>

【参考記事】米中「新冷戦」はもう始まっている
【参考記事】次の戦争では中・ロに勝てないと、米連邦機関が警告

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