IS指導者爆死でもテロの脅威は増すばかり?

2019年10月28日(月)20時00分
トム・オコーナー、ナビード・ジャマリ

だがバグダディの死をもってしても、世界各地のテロを誘発する悪名高いISの能力が完全に衰えたとはいえなそうだ。

「彼らはシリアを襲い、イラクの混乱に乗じ、ヨーロッパ、そして間違いなくアメリカを攻撃するだろう」と、地元の当局者は本誌に語った。「眠れる巨人は目を覚まし、予想もつかない混乱を引き起こし、西側の民間人に大混乱をもたらすだろう」

トランプが10月頭に突然、シリアから米軍を撤収し始めたことで、ISは大いに勢いづいていると、米フォーリン・ポリシー誌は指摘する。トランプの決断の結果、IS最強の敵であるクルド人勢力をトルコ軍が蹴散らしてくれたからだ。クルド人が管理していた捕虜収容所からは、多くのIS戦闘員やその家族が脱走している。

トランプはバグダディの死を自分の手柄と誇るが、その前に犯した失策のほうが、ISの帰趨にはより大きな影響を与えるかもしれない。

(翻訳:栗原紀子)

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