統一地方選・前半戦は自民ペース 高まる衆参W選の思惑

2019年4月8日(月)10時39分

今年7月の参院選の前哨戦とされた統一地方選は、唯一の与野党対決型だった北海道知事選で与党系候補が快勝したほか、大阪府知事選と大阪市長選では大阪維新の会がともに勝利した。安倍晋三政権にとって北海道での勝利は、夏の参院選に向け弾みがつく。

さらに、衆院選準備が大幅に遅れている野党陣営の状況をにらみ、政府・与党内で衆参同日選への思惑が高まりそうだ。

また、安倍政権が進める憲法改正に「前向き」な維新の会が大阪ダブル選で勝利したことで、安倍首相の周辺で、憲法改正の実現に向け態勢を立て直す動きが出てくることも予想される。

統一地方選の前半戦となる11道府県知事選と6政令市長選、41道府議選、17政令市議選は、7日投開票された。

このうち福井、島根、徳島、福岡の4県知事選は保守分裂となり、与党側は「どっちが勝っても政権運営に関係ない」(与党幹部)面もあった。

このため注目されたのが北海道知事選。日欧経済連携協定(EPA)による農産品輸入拡大など与党に不利な材料があったものの、序盤から与党推薦で前夕張市長の鈴木直道氏がリードし、野党が推薦する石川知裕氏は追い上げられなかった。

野党陣営からは「経済重視を前面に出した鈴木氏に対し、脱原発などを掲げたが、十分浸透し切れなかった」(関係者)との声も聞かれ、野党共闘の限界を示した。

また、「大阪都構想」の是非が争点だった大阪ダブル選では、大阪維新の会がどちらかで落選すれば、維新の会の存亡にかかわるとの声も永田町で聞かれた。

このため自民党大阪府連の動きとは別に、憲法改正で日本維新の会との連携を模索している首相官邸にとっても注目の選挙だった。

事前の選挙予測では、一時、大阪市長選で接戦が伝えられていたが、維新の会が「連勝」したことは、安倍政権にとって「朗報」と言えそうだ。

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